2012年 11月 02日
「それでも 親か!!」・・・病院ボランティアで
向かって、10:30頃、ほぼ身体を二つ折れにした
“女の子”が一人で苦しそうな表情をして近づいてきた。
「車いすに乗ろうね」
尋ねると、朝からお腹が痛くて、いつもの「生理痛」かと
思っていた痛みが、上半身全体に激痛が広がり、吐き気が
激しくて通院してきたという。
嘔吐用にビニール袋を握っている。
ポリバケツを取りに走って、膝の上に置く。
17才、高校生。
未成年者の場合は必ず保護者の同伴がないと受け付けられ
ない事になっている。
診察に伴う、処置をはじめとするすべてにおいて、受診者
側が撰別・受諾・決定を必要とするためだ。
ひとりと思っていたら、そうこうしている内に、奥の駐車
場に車を置きに行っていた父親と名乗る男性が現れた。
無表情ないかにも冷血そうな感じ・・・(私の主観)
すぐに職場に帰らなければならず、付き添っていられない
という。
「お金を持たせています。帰りはタクシーで帰るように
ちゃんとお金を持たせています。」と言う。
娘には、ひと言も言葉をかけない。
病院側(受付担当や看護師長)は難渋をしめして、あちこち
に判断をあおぐ電話をかけている。
私、「どなたか他の家族の方をよべませんか?」に、「家族
はいません」の返答。
二人っきりの父子家庭ということか・・・
とにかく、命に関わるかもしれないこと。
内科処置室に「運んであげて」という事になり、病院に来た
という事で少し落ち着いたのか、先程よりは表情が良くなった
「女の子」を二階へ運ぶ。
さみしそうな背中を車椅子をおしながら見ていると、また、
処置室に送り込んで、一階外来に下りる階段で、『憤りと哀れ』
に勝手に涙が出てくる。
痛みのせいもあるかも知れないが、父親同様に無表情。
でも、ぐれている風でもなくトンでいる風でもなく、話しかける
と素直に返答してくれるのは良い子なのだろう。
身近に甘えられる人、話せる人がいないのだろう・・・
「あんた!それでも親か!!」
「お金、お金・・・お金さえ渡せばいいものではなかろうが!!」
と、あの「男」に怒鳴りつけてやりたい。
悲しいかな、制服、胸のバッジがそれをさせてくれない。
死別か離婚か不明だが、ここにも親の犠牲になっている子がいる。
これも『虐待』の一種ではないか!
勝手にいろいろ考えて、こんな「子」がどれだけいることだろうか
と思うと、胸が痛む切ない“旅行明けのボランティア”だった。
「あの子」はどうなっただろう・・・